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本読みのための 大阪まちある記 〜活字メディア探訪

予告編 「大阪『本の都』構想」始動!?

2015年の夏に開始したウェブ連載「本読みのための大阪まちある記」、楽しんでいただけたでしょうか? 東京からの目線で語られがちな大阪や活字メディアに対するイメージを少しでも変えていけたらと、毎回歩を進めてきました。

 

まだまだネタは尽きず、出版文化の全体像に迫るには道半ば......といったところですが、第12回を掲載したところで、ひとまず最終回とさせていただきます。12回に渡る珍道中を共にした読者の方々、取材に協力していただいたり情報や感想を寄せていただいた多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

さて、ウェブ版は終われど、「本読みのための大阪まちある記」はまだまだヴァージョンアップを続けています。全12回を書き終えたところで、今度は書籍化に向けた編集会議やアイデア出し、大幅な加筆作業がはじまりました。
書籍版では新項目の追加やより正確な内容への修正に留まらず、"ウェブ連載の進化版"として、紙の上に「本の都(みやこ)」を築き上げていこうと、着々と「大阪『本の都』構想」なる企てを進めています。

 

「本の都」を築き上げる? 「大阪『本の都』構想」? 何やら大風呂敷を広げるようで、やろうとすることは至ってシンプル、誰にでも実現は可能です。
「本の都」を築くために本書の骨格(本の設計図)となるのは、ウェブ連載を通して体得した以下の3ルール。題して"大阪を「本の都」に三ヵ条"。

 

大阪を「本の都」に三ヵ条(「大阪『本の都』構想」)
一.「本の都」の基盤は、〈大阪のまち〉である。
一.「本の都」を形成する一つ一つの〈本の文化〉は、まち歩きを通して発掘する。
一.「本の都」は、〈本の文化〉の複合体としての〈本のまち〉、さらにはそれら複数の〈本のまち〉を一つのストーリーでつなぎ合わせていくことで構築していく。

 

要は、書籍版「本読みのための大阪まちある記」でやろうとしているのは、リアルな大阪のまちの上に活字メディアの地図を描きつつ、紙媒体での表現とまち歩きを融合させることで、商人のまちを「本の都」へと書き換えていく試みです。

 

本の中にどのような「本の都」が築き上がるのか。刊行は来年2017年、メディアイランドより。最新情報は、時々このページに掲載していく予定です。

 

感想やご意見、大阪の出版文化にまつわる情報なども、随時受け付けています(SNSでの何気ないコメントを含め、時に参考に、時に励みになっています)。

 

2016年9月末記

 

 

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大阪が誇る、明治の図書館建築「大阪府立中之島図書館」(旧大阪図書館)。

 

 

 

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本館入口、ドーム型中央ホールのらせん階段。

 

 

ウェブ版の掲載記事(第1回?第12回)おさらい


第1回では、「なぜ谷町には紙屋が多いのか」の問いを入口に、紙屋と本の文化との深い関わり、第2回では江戸時代の紙の流通ルートを辿ることで、商人のまち大阪に出版文化が根付く根幹の部分に触れました。

第3回では、大阪初の出版物が誕生するまさにその瞬間――のちに日本を代表する大作家へと駆け上がる井原西鶴が、生玉神社で俳諧イベントを開催し、大阪の小さな本屋に企画を持ち込み書籍化するに至った「大阪の出版文化のはじまり」を追いました。

第4回と第5回では、大阪で初期の出版界をリードした俳諧師たちの実像に迫るべく、俳諧師たちの暮らしていた大坂城下町や彼らのコミュニティ拠点だった大阪天満宮を散策。さらに、第6回では「西鶴の暮らした場所を推理する」として、第3回から第5回までのまち歩きでの新たな発見に触れました。

第7回からは拠点を谷町から道頓堀・心斎橋へ。第7回と第8回では、道頓堀の芝居と出版のメディアミックス(歌舞伎編)として、道頓堀の歌舞伎役者を描いた浮世絵文化(=出版文化)を。第8回と9回では浄瑠璃編として、道頓堀が生んだ浄瑠璃作家・近松門左衛門や浄瑠璃本について触れました。
第10回では、近松門左衛門から吉本興業、竹本座からNMB48劇場まで、流行発信基地だった江戸時代の道頓堀から続く、劇場型メディアの最前線を追いました。

第11回では「日本一の本屋街」だった心斎橋の今と昔、第12回ではかつての本屋さんはどのような店だったのか、元祖大阪の本屋さんをレポートしました。

プロフィール

鈴木 遥(すずき・はるか) ノンフィクション作家。1983年生まれ。神奈川県平塚市出身、大阪市在住。
学生時代、全都道府県120地域以上の古い町並みをまわり、京都、奈良を中心にさまざまな町並み保存活動や建築物の記録活動に携わる。出版社勤務を経てフリーランスに。
電信柱の突き出た不思議な家と97歳ミドリさんの秘密を追ったデビュー作
『ミドリさんとカラクリ屋敷』が第8回開高鍵ノンフィクション賞の次点に。
今年5月に文庫版(http://www.amazon.co.jp/dp/4087453200)が集英社文庫より刊行された。
共著『次の本へ』。ブログhttp://karakuri-h.seesaa.net/

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