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著者に聞く!

『あいうえおからのおくりもの 私のイメージ辞典』
編著者 佐々木豊先生に聞く!

子どもは一直線に駆けてくる

『あいうえおからのおくりもの 私のイメージ辞典』の編著者 佐々木豊先生に、この本への思いをお聞きしました。

 

―― 朝会というのか朝礼というのか子どもたちが、運動場に並んでいたんですよ。朝礼が終わると子どもたちは、さっと、直線に駆けてくるんですよ。ぶつかってころびそうになりながら、それでもまっすぐに駆けてくるんです。
大人だったら、ぶつからないように立ち止まったり、曲がったりして、決して直線には駆けませんね。感動しました。
(私の恩師、故 弥吉菅一 大阪教育大学名誉教授からお聞きしたことばです。先生が故郷福岡県の柳川で代用教員をされていたときのことです。)

 

―― せんせい
   せんせ
   ゾウさん見いにいこ
   あの鉄棒の上にある雲
   ゾウさんそっくりやねん
   なあ先生
(教師になって1年目、初めての運動会の学年練習の後。小学3年生の女児が、私の手をひっぱりながら、話しかけてくれたことばです。)

 

 そう、子どもは直線に駆けてきます。
 子どもは詩人です。

 

 そんな”詩人”のひとり、新卒5年目に担任した4年生の学級の児童が、ある日小学生新聞を手にして、こう言うのです。
「先生、国語辞典をつくりたい!」
その思いに応えようとして、『子ども新聞に書いてあるとおりにするのは面白くないなあ』と思って考えついたのが、『イメージ辞典』です。
「辞書にはこう書いてあるけれど、私はこう思う」。
「おぼえる辞書ではなく、新たな意味を創る辞書を」。
そんな辞書になれば、という思いからはじめました。
今回上梓した『あいうえおからのおくりもの』のはじまりです。

 

 国際学力テストの結果などからも、「知識をおぼえるテストの結果はまずまずだが、自分のことばで考えて書くことについては、課題がある」という傾向が顕著なようです。もちろんこれは、子どもの側に原因があるのではなく、考えることをさせてこなかった教師や、大人の側の問題です。
 この「あいうえおからのおくりもの ―私のイメージ辞典―」は、小さな児童詩集ですが、<ことばを「おぼえる」ことから、ことばを「創る」>と、いう大きな夢を抱いた児童詩集です。ことばを「創る」こと、そしてその楽しさをお届けできれば、と思っています。

 

 学校で、先生が子どもたちに詩を指導されるときに、この本を。
ご家庭で、親御さんがお子さんの枕もとで読み聞かせをされるときに、この本を。
あるいは、おとなの方が「やってられないや!」と思われるようなときに、この本を。
たとえば、あなたの上司は、
「仕事というものは……」
と怒鳴りつける。そんなときの、
「私はこう思う」というあなたの心の中のことばを、10歳の子どもたちのこの『イメージ辞典』にならって、この本の中の「あなたの辞典作りのページ」に書き込んでみてください。

 

 

 あなたも、直線に駆けていたころ、あるいは雲が動物のかたちに見えていた子どものころに戻ってみませんか。

 

プロフィール

佐々木豊(ささき・ゆたか)

 

四半世紀にわたって、詩人を招き、地域に開いた子どもと詩についてのサロン「池田子ども詩の会」を主宰。池田市内小学校をはじめ、大阪府教育委員会事務局豊能教育事務所、大阪教育大学附属池田小学校、在外教育施設の北米オハイオ州コロンバス補習授業校等で勤務、大阪府小学校国語科教育研究会会長、全国海外子女教育・帰国子女教育研究協議会副会長等を歴任し、2011年春・池田市立緑丘小学校校長を定年退職。2012年春から、大学で教員養成のための教鞭をとる予定。 

http://www5.plala.or.jp/nonamin/ikeda_kodomosi.html

 

 

 

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